
SaaSの死、と言われている。
IT業界では、だいたい毎年なにかが死ぬ。
SEOも死んだし、ブログも死んだし、メールも死んだ。
でもみんな、だいたい生きている。
※WEB3はどこいった?
ただ今回は、ちょっと空気が違う。
株価が、わりと本気で下がっているからだ。
理由はシンプルで、「AIに代替されるのでは?」という不安。
いままで伸び続ける前提だったSaaS企業に、
はじめて冷たい視線が向けられている。
久しぶりに、市場がちゃんと怖がっている感じがする。
現役でITに関わっている身としては、
正直ちょっと複雑だ。
「いやいや、そんな簡単に代替できないでしょ」と思う自分と、
「でも、思ったより速いよな」と思う自分がいる。
このブログではあまりITの時事ネタは書かない。
どちらかというと、ジーパンとか禅とかの話をしている。
でも今回は、
少しだけ自分の立ち位置を整理してみたい。
株価が下落した企業
いまはSaaS系が一律に下がっているように見える。
ただ、ずっと沈み続ける会社と、
いずれ持ち直す会社に分かれていくと思う。
久しぶりに市場原理が動いた気がする。
IT系も士業系も、
AIで代替できる部分が多いと言われている。
だから「役割の再定義」が迫られている、
たとえばAdobeも下がっている。
「もうAdobeでクリエイティブを作らない時代なのか?」
という問いが、市場に浮かんでいるのだろう。
確かに、
Gensparkやnanobananaで
それっぽいデザインは作れてしまう。
※アイキャッチもGenspark
ちょっとしたLPなら、もう十分。
でも本質的なWEBデザインは、
まだ人の判断がいると思っている。
問題はそこではない。
面白いのは、
業績が崩壊しているわけではないこと。
崩れているのは「期待」。
| 企業名 | ティッカー | 主な事業 | 株価下落率(目安) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| Salesforce | CRM | CRM(顧客管理)クラウド/企業向けSaaS | -21% ~ -45%(直近ピーク比の概算レンジ) | SaaS/ソフトウェア株全体の売り・AI懸念などの影響が指摘される |
| Intuit | INTU | 会計・税務ソフト(例:TurboTax、QuickBooks) | 約 -48%(52週高値比の目安) | 定型業務のAI代替リスクが意識されやすい領域 |
| Adobe | ADBE | クリエイティブ/デザイン系SaaS(例:Creative Cloud) | 年初来 約 -24%(目安) | 生成AI競争・評価倍率の見直しが株価に影響しやすい |
| Microsoft | MSFT | OS/クラウド(Azure)/AI基盤/業務ソフト(M365) | 年初来 約 -12%(目安) | セクター全体の地合い+AI投資(CapEx)への見方で変動しやすい |
昨日まで普通に動いていた。
それでも株価は下がる。
便利かどうかよりも、
「この先も伸びるのか?」のほうが
市場にとっては大事らしい。
SaaSは、便利なツールというより
成長物語だったのかもしれない。
その物語が、いま少し揺れている。
バイブコーディングで代替出来るのか?
この記事のポイントはここです。
確かに作りたいシステムをAIに相談すれば、
それっぽく作る事が出来ます。
でも問題はそこじゃない。
問題は、
それが 公開していい状態かどうかだ。
- セキュリティ
- 冗長性
- 障害時の切り戻し
- ログ設計
- 監視
そのあたりまで含めて設計できるか。
AIの副作用として、ハッキングも明らかに高度化
していて、それに耐えうる設計が出来るか。
全てのWEBサービス会社は常に攻撃されており、
そのナレッジや勘所は尊敬に値します。
今後はセキュリティ設計が今までよりも
重要になってくる気がします。
バイブコーディングが合うところ
とはいえ、
全部が否定されるわけでもない。
- 社内ツール
- 小規模サービス
- ある程度クローズドな環境
こういう領域では、
バイブコーディングは相性がいい。
むしろ武器になる。
ただ、大規模サービスや
ミッションクリティカルな領域は、
まだ雰囲気だけでは難しい。
だから今、SaaS企業が一律で売られているけれど、
本当に代替できない部分を持っている会社は、
いずれ戻すと思っている。
ただし。
AI以前がSaaSの全盛期だった、
と言われる未来は、
たぶん来る。
バイブコーディングとスモールビジネス
ここまで読むと、
「結局、大手SaaSしか生き残らないのか」
と思うかもしれない。
でも、たぶん逆の流れもある。
バイブコーディングは、
巨大な基幹システムを置き換えるためのものというより、
スモールビジネスとの相性がいい。
アイデアさえあれば、とりあえず形にできる。
昔なら、
- エンジニアを探して
- 予算を組んで
- 数ヶ月かけて開発して
という流れだった。
今は違う。
週末で試作できる。
動く。
試せる。
ダメなら、また直せる。
このスピードは、やっぱり大きい。
もちろん、大規模サービスや
ミッションクリティカルな領域は別だ。
でも、小さな課題を解くプロダクトなら、
十分に勝負できる。
正直、これから起業するなら、
いまの環境は悪くないと思っている。
作れないから諦める、という言い訳が減った。
その代わり、
「何を作るのか」の言い訳はできなくなった。
AIは脅威でもあるけれど、
初期装備でもある。
あとは、使うかどうかだけ。
人の役割の再定義
「上流工程」という言い方には、正直ちょっと違和感があるんですが、
なんだか、
偉くなった人がやる場所、みたいな響きがある。
でもAIがコードを書く世界では、
たしかに書く人よりも決める人の比重は上がる。
- 要件を出せる
- 全体像を描ける
- 人と人の間をつなげる
そういう役割に、
フォーカスが当たっていくのだと思う。
言い方を変えれば、
「何を作るか」よりも
「なぜ作るか」「どこまで作るか」を決める側。
それはITだけじゃない。
士業も、たぶん同じ方向にいく。
書類を作る人ではなく、
判断を一緒に背負う人。
AIが増えるほど、
責任を引き受ける人の価値は、むしろ上がるのかもしれない。
最後に
SaaSが死ぬのかどうかは、正直まだ分からない。
たぶん、全部は死なない。
でも、全部が無傷でもない。
でも、はっきりしているのは、
「作る」ことのハードルはどんどん下がっているということ。
その代わりに残るのは、
- 何を作るか
- どこまでやるか
- 誰が責任を持つか
そのあたりだと思う。
AIは便利だし、これからも使う。
たぶん僕も使う。
でも、最終的に「公開する」と決めるのは人間だ。
SaaSの死というより、
役割の再配置。
そんな感じがしている。
中年は、意外とまだ忙しい。